乳がんの種類
乳がんは乳腺の上皮組織、すなわち乳管や小葉の内腔表面から発生します。乳管由来のものを乳管がん、小葉由来のものを小葉がんと呼びます。ほとんどの乳がんは乳管がんです。 乳がんが乳房だけにとどまらず身体の他の部位、リンパ節や骨、肝臓、肺、脳、といった器官に広がっていることがありますが、どこに広がろうと乳がんは乳がんです。
身体の他器官にしこりを形成してもその器官のがんではなく、転移性乳がんと呼ばれます。乳房にとどまっている乳がんを"局所病"、転移しているものが"全身病"と総称されています。局所病には手術や放射線療法といった局所療法、全身病には化学療法、ホルモン療法、免疫療法といった全身療法が施されます。
乳がんの症状
早期乳がんの場合はほとんど痛みを感じません。乳がんが生じた当初はなんの症状もないのが普通です。しかし乳がんが大きくなるに従い、以下のような変化が生じてきます。
■乳房や腋の下のしこりや厚み
■乳房の大きさや形の変化
■乳頭からの分泌物
■乳房・乳輪・乳頭の皮膚の色や感触の変化(へこみ、ひきつれ、赤み、皮膚のかさつき)
このような変化があったからと言って、乳がんとは限りませんが、その診断ができるのは医師だけです。少しでも違和感を感じたらすぐに医師に相談しましょう。
乳がんを発見するには
乳がんの早期発見には、
@定期的な自己チェック
A年に一度の乳がん健診
B40歳を過ぎたらマンモグラフィー健診を受ける
ことが重要だと言われています。
@ 定期的な自己チェック
毎月乳がんの自己検診をしましょう。
それぞれの女性ごとに乳房の状態は異なりますし、更にその女性の年齢や生理の周期、妊娠、閉経、避妊薬や他のホルモン剤の内服によっても変化します。
乳房にしこりがあるように感じたり、不均一に感じても異常とは限りません。生理前や生理中に乳房が張ったり、痛みを感じることは良くあることです。
このため女性たちの多くは自分の乳房にとってどのような状態が普通なのか分からなくなっています。毎月一回、乳房の自己検診をすることによって、どのような状態が正常なのかを学び、ささいな変化にも気づくことができるようになるのです。
自己検診で発見した変化は、どんなささいなことでも医師に報告しましょう。
◆自己検診法
生理がある場合には、乳房の緊張や腫れがほとんどなくなる生理が終了した2〜3日後が自己検診をする最適な時期となります。閉経後には、毎月1日のように自分の検診する日を決めて下さい。経口避妊薬のようなホルモン剤を使用中の方は、いつ自己検診を行えば良いか医師に相談して下さい。
- 鏡の前に立ち注意深く見ます。あなたの両側の乳房に乳頭からの分泌、皮膚のしわ、くぼみなどの異常がないかを観察して下さい。
- 頭の後ろで手を組み、手を前へ押します。あなたの乳房の形と輪郭の変化を観察して下さい。
- 次に両手を腰にあて、鏡に向かって少しおじぎをします。このときに肩と肘を前方に押し出します。1、2と同様に形と輪郭の変化を観察して下さい。
- 片手を上げた方の乳房とその周囲を、もう一方の手の指の腹を使い、しっかりと注意深く隙間なく触れます。ローションやパウダーを使うと、指が皮膚の上を滑りやすくなります。この検査をお風呂の中で行うと石鹸によって指が皮膚のうえをすべりやすくなり、皮膚の下の変化が分りやすくなります。皮膚の下に異常なしこりや腫瘤がないか探してください。指先を少しづつずらしながら、一円玉くらいの狭い範囲を重ね合わせながら触れて行きます。指先のずらし方には、上下法、回転法、放射状法があります。いずれか一つの方法を選んで乳房全体を触れてください。上下法はわきの下から指を少しずつ下にずらしてゆきます。アンダーバストに達したら少し内側にずらして再び下から上に戻ります。これを繰り返して乳房全域を触れます。回転法は乳房外上方から指を小さく回転しながら、ゆっくり乳房の周囲を回ります。徐々に乳頭に向かいます。放射状法は乳頭から外側に向って注意深く指をずらします。外側に達したら少し方向をずらして再び乳頭に戻ります。これを繰り返して乳房全体を調べます。いずれの方法でも乳房とわきの下の間、特にわきの下そのものには十分な注意を払います。片側の乳房を調べ終わったら反対側に対しても同様に行います。
- 優しく乳頭を搾ることにより、分泌液が出るかを調べます
- ステップ4は寝た状態でも繰り返します。背中をのばし左手を頭の上に上げ、左肩の下には枕かたたんだタオルを置きましょう。この体位により乳房が平たくなり、検査が容易になります。前述した三つの方法のいずれかを用いてください。右の乳房でも繰り返します。
A 年に一度の乳がん健診
医師による乳がん検査を定期的に受けることが大切です。医師による触診や超音波検査などがあります。1年に1ー2回は受診してください。
B 40歳を過ぎたらマンモグラフィー健診を受ける
マンモグラフィーは乳房撮影ともいい、乳房専用のレントゲン装置を用いて撮影される特殊なレントゲン検査です。
マンモグラフィーで撮ったレントゲン写真をマンモグラムと呼びます。胸部などのレントゲン検査では、乳がん検診はできません。
マンモグラフィーはしこりとして触れる前の無症状の早期乳がんを見つけることができます。
マンモグラムは専用の装置を用いて、専門の医師または技師によって撮影され、放射線科医や乳腺の外科医によって読影されます。
定期検診としてのマンモグラフィーは40歳から開始し、50歳までは1年か2年に1回 、50歳からは1年に1回撮ることをお勧めします。
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